qmk_firmware/docs/ja/feature_layers.md
umi b3b617633c
[Docs] Japanese translation of docs/feature_layers.md (#9252)
* add feature_layers.md translation

* update based on comment

* update based on comment

* update based on comment
2020-06-23 16:42:01 +09:00

16 KiB

レイヤー :id=layers

QMK ファームウェアの最も強力で良く使われている機能の一つは、レイヤーを使う機能です。ほとんどの人にとって、これはラップトップやタブレットキーボードにあるのと同じように、様々なキーを可能にするファンクションキーに相当します。

レイヤースタックがどのように動作するかの詳細な説明については、キーマップの概要を調べてください。

レイヤーの切り替えとトグル :id=switching-and-toggling-layers

以下の関数により、様々な方法でレイヤーをアクティブにすることができます。レイヤーは通常、独立したレイアウトでは無いことに注意してください -- 複数のレイヤーを一度にアクティブにすることができ、レイヤーが KC_TRNS を使ってキーの押下を下のレイヤーへと透過させることが一般的です。MO()、LM()、TT() あるいは LT() を使って一時的なレイヤーの切り替えを使う場合、上のレイヤーのキーを透過にするようにしてください。さもないと意図したように動作しないかもしれません。

  • DF(layer) - デフォルトレイヤーを切り替えます。デフォルトレイヤーは、他のレイヤーがその上に積み重なっている、常にアクティブな基本レイヤーです。デフォルトレイヤーの詳細については以下を見てください。これは QWERTY から Dvorak レイアウトに切り替えるために使うことができます。(これは一時的な切り替えであり、キーボードの電源が切れるまでしか持続しないことに注意してください。デフォルトレイヤーを永続的に変更するには、process_record_user 内で set_single_persistent_default_layer 関数を呼び出すなど、より深いカスタマイズが必要です。)
  • MO(layer) - 一時的にレイヤーをアクティブにします。キーを放すとすぐに、レイヤーは非アクティブになります。
  • LM(layer, mod) - (MO のように)一時的にレイヤーをアクティブにしますが、モディファイア mod がアクティブな状態です。layer 0-15 と、左モディファイアのみをサポートします: MOD_LCTLMOD_LSFTMOD_LALTMOD_LGUI (KC_ 定数の代わりに MOD_ 定数を使うことに注意してください)。これらのモディファイアは、例えば LM(_RAISE, MOD_LCTL | MOD_LALT) のように、ビット単位の OR を使って組み合わせることができます。
  • LT(layer, kc) - ホールドされた時にレイヤーを一時的にアクティブにし、タップされた時に kc を送信します。layer 0-15 のみをサポートします。
  • OSL(layer) - 次のキーが押されるまで、一時的にレイヤーをアクティブにします。詳細と追加機能については、ワンショットキーを見てください。
  • TG(layer) - レイヤーを切り替えます。非アクティブな場合はアクティブにし、逆も同様です。
  • TO(layer) - レイヤーをアクティブにし、他の全てのレイヤー(デフォルトレイヤーを除く)を非アクティブにします。この関数は特別です。1つのレイヤーをアクティブなレイヤースタックに追加/削除する代わりに、現在のアクティブなレイヤーを完全に置き換え、唯一上位のレイヤーを下位のレイヤーで置き換えることができるからです。これはキーダウンで(キーが押されるとすぐに)アクティブになります。
  • TT(layer) - レイヤーのタップ切り替え。キーを押したままにするとレイヤーがアクティブにされ、放すと非アクティブになります (MO 風)。繰り返しタップすると、レイヤーはオンあるいはオフを切り替えます (TG 風)。デフォルトでは5回のタップが必要ですが、TAPPING_TOGGLE を定義することで変更することができます -- 例えば、2回のタップだけで切り替えるには、#define TAPPING_TOGGLE 2 を定義します。

注意事項 :id=caveats

現在のところ、LT()MT()基本的なキーコードセットに制限されています。つまり、LCTL()KC_TILD あるいは 0xFF より大きなキーコードを使うことができません。特に、LTMT のような二重の機能キーは16ビットキーコードを使います。4ビットは機能の識別のために使われ、次の12ビットはパラメータに分かれます。レイヤータップはレイヤーに4ビットを使います(実はレイヤータップがレイヤー 0-16 に制限されている理由です)。モッドタップも同じですが、識別子に4ビット、モッドのために4ビットが使われ、全体でキーコードに8ビットを使います。このため、使用されるキーコードは 0xFF (0-255) に制限され、基本的なキーコードのみです。

これを拡張してもせいぜい複雑になるだけでしょう。32ビットキーコードに移行すると、これの多くが解決されますが、キーマップマトリックスが使用する領域が2倍になります。また、問題が起きる可能性もあります。タップしたキーコードにモディファイアを適用する必要がある場合は、タップダンスを使うことができます。

さらに、モッドタップあるいはレイヤータップで少なくとも1つの右手用のモディファイアが指定された場合、指定された全てのモディファイアが右手用になるため、2つをうまく組み合わせて一致させることはできません。

レイヤーとの連携 :id=working-with-layers

レイヤーを切り替える時は注意してください。(キーボードを取り外さずに)そのレイヤーを非アクティブにすることができずレイヤーから移動できなくなる可能性があります。最も一般的な問題を避けるためのガイドラインを作成しました。

初心者 :id=beginners

QMK を使い始めたばかりの場合は、全てを単純にしたいでしょう。レイヤーをセットアップする時は、これらのガイドラインに従ってください:

  • デフォルトの "base" レイヤーとして、layer 0 をセットアップします。これは通常の入力レイヤーであり、任意のレイアウト (qwerty、dvorak、colemak など)にすることができます。通常はキーボードのキーのほとんどまたは全てが定義されているため、これを最下位のレイヤーとして設定することが重要です。そうすることで、もしそれが他のレイヤーの上 (つまりレイヤー番号が大きい)にある場合の影響を防ぎます。
  • layer 0 をルートとして、レイヤーを "ツリー" レイアウトに配置します。他の複数のレイヤーから同じレイヤーに行こうとしないでください。
  • 各レイヤーのキーマップでは、より高い番号のレイヤーのみを参照します。レイヤーは最大の番号(最上位)のアクティブレイヤーから処理されるため、下位レイヤーの状態を変更するのは難しくエラーが発生しやすくなります。

中級ユーザ :id=intermediate-users

複数の基本レイヤーが必要な場合があります。例えば、QWERTY と Dvorak を切り替える場合、国ごとに異なるレイアウトを切り替える場合、あるいは異なるビデオゲームごとにレイアウトを切り替える場合などです。基本レイヤーは常に最小の番号のレイヤーである必要があります。複数の基本レイヤーがある場合、常にそれらを相互排他的に扱う必要があります。1つの基本レイヤーがオンの場合、他をオフにします。

上級ユーザ :id=advanced-users

レイヤーがどのように動作し、何ができるかを理解したら、より創造的になります。初心者のセクションで列挙されている規則は、幾つかの巧妙な詳細を回避するのに役立ちますが、特に超コンパクトなキーボードのユーザにとって制約になる場合があります。レイヤーの仕組みを理解することで、レイヤーをより高度な方法で使うことができます。

レイヤーは番号順に上に積み重なっています。キーの押下の動作を決定する時に、QMK は上から順にレイヤーを走査し、KC_TRNS に設定されていない最初のアクティブなレイヤーに到達すると停止します。結果として、現在のレイヤーよりも数値的に低いレイヤーをアクティブにし、現在のレイヤー(あるいはアクティブでターゲットレイヤーよりも高い別のレイヤー)に KC_TRNS 以外のものがある場合、それが送信されるキーであり、アクティブ化したばかりのレイヤー上のキーではありません。これが、ほとんどの人の "なぜレイヤーが切り替わらないのか" 問題の原因です。

場合によっては、マクロ内あるいはタップダンスルーチンの一部としてレイヤーを切り替えほうが良いかもしれません。layer_on はレイヤーをアクティブにし、layer_off はそれを非アクティブにします。もっと多くのレイヤーに関する関数は、action_layer.h で見つけることができます。

関数 :id=functions

レイヤーの使用あるいは操作に関係する多くの関数(と変数)があります。

関数 説明
layer_state_set(layer_mask) 直接レイヤーの状態を設定する (推奨。何をしているのか分かっていない場合は使わないでください)。
layer_clear() 全てのレイヤーを消去する (全てをオフにします)。
layer_move(layer) 指定されたレイヤーをオンにし、それ以外をオフにする。
layer_on(layer) 指定されたレイヤーをオンにし、それ以外を既存の状態のままにする。
layer_off(layer) 指定されたレイヤーをオフにし、それ以外を既存の状態のままにする。
layer_invert(layer) 指定されたレイヤーの状態を反転/トグルする。
layer_or(layer_mask) 指定されたレイヤーと既存のレイヤー状態の間で一致するビットに基づいてレイヤーをオンにする。
layer_and(layer_mask) 指定されたレイヤーと既存のレイヤー状態の間で有効なビットに基づいてレイヤーをオンにする。
layer_xor(layer_mask) 指定されたレイヤーと既存のレイヤー状態の間で一致しないビットに基づいてレイヤーをオンにする。
layer_debug(layer_mask) デバッガのコンソールに現在のビットマスクと最も高いレイヤーを出力する。
default_layer_set(layer_mask) 直接デフォルトレイヤーの状態を設定する (推奨。何をしているのか分かっていない場合は使わないでください)。
default_layer_or(layer_mask) 指定されたレイヤーと既存のデフォルトレイヤー状態の間で一致するビットに基づいてレイヤーをオンにする。
default_layer_and(layer_mask) 指定されたレイヤーと既存のデフォルトレイヤー状態の間で一致する有効なビットに基づいてレイヤーをオンにする。
default_layer_xor(layer_mask) 指定されたレイヤーと既存のデフォルトレイヤー状態の間で一致しないビットに基づいてレイヤーをオンにする。
default_layer_debug(layer_mask) デバッガのコンソールに現在のビットマスクと最も高いアクティブなレイヤーを出力する。
set_single_persistent_default_layer(layer) デフォルトレイヤーを設定し、それを永続化メモリ (EEPROM) に書き込む。
update_tri_layer(x, y, z) レイヤー xy の両方がオンであるかを調べ、それに基づいて z を設定する(両方がオンの場合オン、そうでなければオフ)。
update_tri_layer_state(state, x, y, z) update_tri_layer(x, y, z) と同じことをするが、layer_state_set_* 関数から呼ばれる。

呼び出すことができる関数に加えて、レイヤーが変更されるたびに呼び出されるコールバック関数が幾つかあります。これはレイヤー状態を関数に渡し、読み取りや変更することができます。

コールバック 説明
layer_state_set_kb(layer_state_t state) キーボードレベルのレイヤー関数のためのコールバック。
layer_state_set_user(layer_state_t state) ユーザレベルのレイヤー関数のためのコールバック。
default_layer_state_set_kb(layer_state_t state) キーボードレベルのデフォルトレイヤー関数のためのコールバック。キーボードの初期化時に呼ばれます。
default_layer_state_set_user(layer_state_t state) ユーザレベルのデフォルトレイヤー関数のためのコールバック。キーボードの初期化時に呼ばれます。

?> これらのコールバックを使うための追加の情報については、レイヤー変換コードのドキュメントを調べてください。

チェック関数 説明
layer_state_cmp(cmp_layer_state, layer) これは cmp_layer_state を調べて、指定された layer が有効かどうかを確認します。これは、レイヤーコールバックで使うためのものです。
layer_state_is(layer) これはレイヤーの状態を調べて、指定された layer が有効かどうかを確認します。(グローバルレイヤー状態については、layer_state_cmp を呼びます)。

!> IS_LAYER_ON(layer) もありますが、layer_state_cmp 関数には、レイヤー0で正しい値を返すようにするために追加の処理があります。さもないと、レイヤー0がオンになっているかどうかを確認する時に誤った値が返されることがあります。